蚊取り線香の話

−今回のお話は皆さんのお役に立ちません。きっと−

 

 私の登山スタイルのほとんどは,登山口まで車で行ってそこから登る日帰り登山である。

少し時間のかかる山や自宅から登山口まで遠い山の場合は,前日まで登山口周辺まで行き,車中泊やテント泊をして登ることもある。

ある夏の山登りで,登山口周辺にテント泊を計画して出発した。現地に着きテントを広げてポールを使おうと思ったら,
「無い!ポールが無い」車の中を探し回ったが無い。「ウーン」と唸ったが無い物はないので,
「よし,車の中で寝よう」いつになく決断は早かった。これしか結論がないのだから早くて当然ではあるが。

しか〜し,真夏に車の中で寝たことがある方は,お解りでしょう。暑いのです。
窓を開けないととても寝られるものでありません。
でも,パンツとシャツのみになり,車の窓を開けて寝てみると,これはこれで結構涼しくて快適に寝られるのです。
でもでも,暫くすると,太ももや脇腹がチクチクするんですね,これが。

「カユイ,カ,カ,カッユィ〜ッ」
車内灯を点けてみると,なにやら飛んでいる,そう,「蚊」である。窓を閉めようか。でも,今更閉めても入っている蚊に食われてします。どうしょうか。そうだ。蚊取り線香だ。

他の物に火が移ったりしないかな,と,思ったがケースに入れダッシュボードに乗せた。もちろん,窓を開けて。
これが大成功だった。その後,蚊にまったく悩まされることなく,若干寝不足ではあったが,ほぼ快適に朝を迎えた。

そして,山登りが終わって帰るために車のエンジンをかけてみると,ナント,すごく良い香りがするではないか。お香のような,ハーブのような香りがするのである。おまけに車内クーラーのカビ臭いにおいも全くなくなっている。

蚊には喰われないし,涼しいし,良い香りがするし一石三鳥で最高である。お気に入り道具で紹介したいくらいだ。

さて,その数日後,
車に乗ってエンジンをかけてみると,「ウグェ〜ッ,オェッ!ナンダこの匂い」思わず車から降りて,そこに呆然と立ちつくしてしまった。(T_T)

何かをいぶしたような,カビのような,それらが入り交じった強烈な匂いだった。蚊取り線香の香りが無くなって,いぶした煙とカビの匂いが残ってしまったのである。

それから半月,エンジンをかけるたびに,その匂いに悩まされ続けたのでした。皆さん気をつけてね。

 

 
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