とってもコワ〜イ話

−今回のお話はまじめに怖い話です。最後に落ちはありません−

山形県の天元台から西吾妻山〜西大顛を往復したときのことでした。

このコースは深田久弥さんの日本百名山の一つ西吾妻山があるので登山者の多いところです。

しかも,米沢の天元台ロープウエイとリフトを乗り継いで,かなりの高みまで来られるので,百名山登山者のみならず,観光客も結構集まってきます。

リフト終点から展望台までサンダルで行ってしまう観光客もいます。さすがに足が痛そうに歩いていましたが。

百名山なのと,ロープウエイ等を利用できることから,ツアー登山者が圧倒的に多い山でもあり,終了間際のロープウエイには順番待ちで1時間近く並ぶこともあります。

ただ,ほとんどのツアー登山者と百名山登山者は西吾妻山までで,西大顛まで行く人は多くありません。

さて,私が西吾妻山山頂に着いた時のことです。その山頂は樹林帯の中を歩いていると唐突に「西吾妻山山頂」の標識がありました。その標識がないと気づかずに通りすぎてしまったでしょう。

「えっ?本当に山頂?」と思わず疑ってしまいました。そのころは地形図を持ち歩いていましたが,読図にはほど遠い状態でしたから。(今でもあまり進歩していませんが)

と,その時でした。一人の登山者が到着してこう呟いたのです。
「えっ?ここが山頂なのか?」

私は思わず嬉しくなりました。「疑っているのは私だけでないぞ」ってね。

ところが,その登山者が突然怒りだしたのです。
「何でこんな山が百名山なんだ。こんな山が!」

私に言われたわけじゃないんですけ,私は思わず答えてしまいましたよ。
「西大顛まで行くと途中変化があって楽しめますよ」ってね,「まだ行ったことないけど」と心の中で思いつつ。

まあ,そんなことがあった山頂から下って,西吾妻小屋に着きました。

この場所は天元台と西大顛の分岐で,山頂から下ってくると,天元台に戻る方向を誤って,西大顛の方角にさらに下って行きやすいのです。

そこには,数人の中年女性がかたまってうろうろしつつ西大顛方向に下ろうとしていました。
私が近づくと,グループの一人が
「天元台にはこっちでいいんでしょ」といきなり話しかけられ,一瞬何を言っているの解りませんでした。「リフト乗り場に簡単には戻れないだろう」と思いましたが。「天元台はあの道を戻るのです」と教えました。

西吾妻小屋から一度下って登り返すと西大顛山頂です。山頂について腰を下ろす,近くにいた2名の女性に話しかけられました。

「すいません。ここはどこでしょうか」
「どこって,西大顛の山頂ですけど」
「あの〜,天元台のリフト乗り場に戻りたいのです。そこにバスが待っているので」
「そうですか。ここから遠いし道が複雑だから……」と,私も困惑です。

その時,近くいた男性が
「ここからは無理だから,デコ平に下りた方がいいでしょう。私が一緒に下りてあげます」と言ってくれました。

困惑していた私も助かりました。何しろリフト終了の4時に間に合わないと,天元台までスキー場を延々と下りなければならないのです。

 

 まもなく山頂を出発し,途中ホシガラスという鳥などのんびりと見てしまい,気がつくと時間が迫っています。走るように登山道を戻っていくと人形石との分岐付近で,人形石方面から4人の家族連れが戻ってきました。

「すいません,天元台に戻りたいのですけど,道が分からないんです」

私は急いでいたので,ぶっきらぼうに
「そっちは人形石。天元台はこっち。急がないとリフトとロープウエイに乗れないすよ」と言い先を急ぐと,

「リフトが終わったら歩いて下りればいいさ」と,子供に話しかけたようでした。
「やだよ,お父さんだって疲れてるでしょう」と子供が答えていました。

それでも,私たちの後を追いかけてきて,無事リフトに間に合いました。お父さんはかなり疲れていたようなので,子供はよく見ているものだと感心しました。

以上が本当にあった話です。
どうですか。恐い話でしょう。

「えっ?なにが怖いのかよく分からない?そお???ふ〜ん!」

まっ。よくある話ですけどね。

 

 
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